妊娠中の方へ
歯のもと
赤ちゃんはお母さんのお腹に宿ったその日からものすごい成長を始めています。
歯のもとである「歯胚(しはい)」が作られ始めるのは、およそ妊娠6~7週頃と言われています。
お母さんの食事が健康な歯を育てる
カルシウム・リンは歯の石灰化を助け、丈夫な歯を作るために必要な栄養素です。
胎盤が完成した後、4~5ヶ月頃から赤ちゃんの歯の発育はどんどん進みます。
この時間にお母さんの栄養状態が悪いと、赤ちゃんの歯が弱くなったり、むし歯ができやすくなると考えられています。
妊娠中のお口の変化
- つわりにより、歯磨きが不十分で磨き残しが多くなります。
- 食事の回数が増えると、口内の酸性状態が長く続き、むし歯ができやすくなります。
- 女性ホルモンが増加し、歯肉に炎症が起こりやすく、「妊娠性歯肉炎」を引き起こします。だ液の性質が変化して、口の中がネバつき、細菌が活動しやすくなります。
●重度の歯周病の妊婦さんは歯周病菌の影響で早産や低体重児出産などの危険性が高くなることが報告されています。
このあとにご説明しますが、定期的な歯科医院でのチェックが大切です。
むし歯の原因菌「ミュータンス菌」の母子感染
ミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。
やがて、お母さんをはじめとした家族・周りの人の口の中にいるミュータンス菌がやってきます(感染経路は大人が使った箸やスプーン、ストロー、キスなどです)。
箸やスプーンは別のものを使うなど、注意をしましょう。母子感染しやすい危険な時期は乳歯の奥歯が生えてくる1歳半~3歳くらいの間だと言われています。
定期的な歯のクリーニング
母子感染の予防で、感染経路に注意するほかに重要なのがお母さんが定期的なクリーニングを受けることです。歯ブラシで落とすことができない菌の集合体(バイオフィルム)を取り除くクリーニングをします。
3~4ヶ月に1度行うことで歯周病はむし歯を予防し、また早期発見・治療につなげます。むし歯の多い(菌を多く持っている)お母さんの子どもは早くからむし歯になる危険性が高いと言われているので、定期的にチェックを受けましょう。
妊娠中は治療に制限がかかる場合がありますし、お口の状態も不安定です。出産後は忙しくなるので、妊娠前から歯科医院にかかっておくのが理想的です。
お子さんのお口のケアについて
歯が生えてきたら、はじめのうちはぬるま湯につけたガーゼなどでお口の中と歯をやさしく拭いてあげてください。
歯が生えてきた頃に、お子さんもぜひ一度、お口の中を歯科医院に見せに来てください。
可能であればフッ素塗布を行います。フッ素は歯質強化、むし歯菌の活動を抑える効果があります。
むし歯がない頃から歯医者さんの雰囲気に慣れておくことが大切です。
具体的なケアの方法や疑問などがあれば、来院した際にお気軽にお声がけください☆